自衛隊への入隊条件

自衛隊への入隊条件は応募する採用種目によって異なります。自衛隊に入隊を希望するときには、学歴や年齢などに応じて応募可能なものを選ぶことが必要です。

複数の種目に応募できる場合もありますので、どれが自分に合っているのかを考えてみましょう。ここでは、自衛隊の代表的な採用種目を取り上げて、その特徴や主な条件をご紹介します。

自衛隊幹部候補生

自衛隊幹部候補生は、将来的に自衛隊の幹部になって働きたい人向けの種目です。幹部を養成するための制度として整えられていて、3つのコースがあります。

大学の歯科学を専攻した人が選べる歯科幹部候補生、薬学科を卒業した人が選べる薬剤科幹部候補生、その他の学部学科出身の人が選べる一般幹部候補生の3種類です。

自衛隊幹部候補生は、下記のようにコースによって入隊条件が異なります。

一般曹候補生

一般曹候補生は陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊のどれかに所属して実働部隊になる曹として働きたい人に向いている種目です。適性や能力に合わせて知識も技能も養成できる制度が整えられています。

一般曹候補生の応募資格は広く、採用予定月の時点で18歳以上、33歳未満であれば応募可能です。年に2回の試験が実施されていて、筆記試験、適性試験、口述試験、身体試験に合格すると入隊できます。

ただし、高卒予定者と中卒予定者が受験できるのは秋に実施される第2回のみです。

自衛官候補生

自衛官候補生は任期制自衛官になりたい人向けの種目です。自衛官候補生として入隊すると、3か月間の教育訓練を受けて2等陸士、2等海士、2等空士のいずれかに任官されます。

その後、陸上自衛官は1年9か月、海上・航空自衛官は2年9ヶ月を1任期として勤務します。2任期目以降は2年が1任期になります。自衛隊で働いてみたいという若い人たちから人気があり、高卒や中卒の人が集まる傾向がある仕事です。

自衛官候補生になるには筆記試験、口述試験、適性検査、身体検査に加えて、経歴評定でも合格する必要がありますが、18歳以上33歳未満という年齢制限があるだけで他の制約はありません。

なお、自衛官候補生は通年で募集されている特徴があり、試験日程は応募受付のタイミングで通知されます。

経歴評定とは過去の経歴を評価する試験内容で、自衛官としてふさわしいかどうかが確認されます。経歴評定で重視されているのが実務に使える資格です。大型自動車免許、自動二輪免許、情報技術者資格などが代表例です。

小型（大型）自動車整備士、航空整備士、海技士（航海・機関）などのように、自衛隊の実務に直接関係がある資格も重視されます。

防衛大学校学生

防衛大学校学生は、防衛大学校で学びながら幹部自衛官を目指したい人に適しています。

防衛大学校学生として4年間、自衛官として活躍するための知識や技能、人間性や思考力を身につけるための教育を受けます。参考までに、防衛大学校は全寮制です。

防衛大学校学生になるには高卒、あるいは高卒見込で21歳未満というのが条件です。推薦、総合選抜、一般という3つの応募枠があります。

学力試験、口述試験、身体検査は共通して実施される試験科目です。総合選抜では優秀な人材を抜擢するのが目的になっており、適応能力試験、問題解決能力試験、基礎体力試験も実施されます。

推薦受験には高校の校長による推薦が必要ですが、高卒でも卒業した高校の校長の推薦状があれば申し込むことが可能です。すべての試験に合格することが防衛大学校学生になる必要条件です。

防衛医科大学校医学科学生

防衛医科大学校医学科学生は、医師として自衛隊の幹部自衛官になりたい人のための種目です。医学部受験をするときに候補の一つとして選ぶ人もいるため、医者になりたい人たちとの競争になります。

防衛医科大学校医学科学生も全寮制になっていて、自衛官としての規律を体得しながら医師として必要なスキルを習得できるのが特徴です。紛争の現場に赴任して働く幹部となることも見越して、体力と精神力を鍛えるカリキュラムも盛り込まれています。

防衛医科大学校医学科学生の試験に応募するには高卒または卒業見込、高専3年次修了または修了見込みで、18歳以上21歳未満というのが条件です。

学力試験、口述試験、身体検査を受けて合格すると防衛医科大学校医学科学生になれます。

防衛医科大学校看護学科学生（自衛官候補看護学生）

防衛医科大学校看護学科学生（自衛官候補看護学生）は、看護師や保健師として自衛隊の幹部自衛官になりたい人向けの種目です。

自衛隊の衛生科部隊の一員および幹部として活躍するのを最終目標としているのが防衛医科大学校看護学科学生です。

防衛医科大学校看護学科学生になると4年間の看護や保健に関する専門教育を受けて、看護師・保健師の国家資格の受験資格を取得できます。

免許を取得したら幹部候補生学校に入校し、幹部自衛官として必要な知識や体力などを身につけるという流れになっています。

防衛医科大学校看護学科学生になるには高卒または高卒見込、高専3年次修了または修了見込で、18歳以上21歳未満というのが条件です。

筆記試験、口述試験、身体検査を受けて合格すると看護師や保健師として自衛隊活動を支える道に進めます。

航空学生

航空学生は、海上自衛隊または航空自衛隊で航空機を操縦するパイロットになりたい人向けの種目です。航空学生は学生という名称からもわかるように、若手の人材を育ててパイロットにすることを目指す制度になっています。

学生宿舎で規律を守りながら自衛隊員としての素養を育みつつ、高度な操縦技術を学べる仕組みになっているのが航空学生の特徴です。航空学生は海上自衛隊か航空自衛隊のどちらかを希望して応募する仕組みになっています。

応募資格のある年齢は海上自衛隊では18歳以上23歳未満、航空自衛隊では18歳以上21歳未満です。学歴については高卒または高卒見込、高専3年次修了で海上自衛隊でも航空自衛隊でも同じ条件です。

航空学生になるための試験は筆記試験と適性検査の1次試験から始まり、航空身体検査と口述試験と適性検査による2次試験があります。

さらに海上自衛隊、航空自衛隊で個別の3次試験を受けて合格すると航空学生として入隊できます。海上自衛隊の試験は航空身体検査、航空自衛隊の試験は操縦適性検査と医学適性検査です。

高等工科学校生徒

高等工科学校生徒は、中卒や中卒見込の人が自衛隊で活躍したいと考えているときに適している種目です。高等工科学校生徒は中卒で17歳未満の男子のみを対象としています。

これから高度な教育を受けて陸上自衛官として活躍できるように組まれたカリキュラムで教育を受けられる特徴があります。

高等工科学校生徒の制度は将来の陸上自衛隊を支える自衛官を育てるのを目的として運用されており、国際化やIT化による影響を加味した自衛官養成カリキュラムになっています。

自衛官として求められる人間性や教養を若いうちから身につけたい人にとって魅力がある制度です。

高等工科学校生徒になるには推薦と一般の2通りの受験方法があります。中学校の校長の推薦があれば、推薦枠での受験が可能です。

一般の場合には推薦書は必要ありません。入隊条件は口述試験、筆記試験、身体検査の合格ですが、一般枠では受験が2日間に渡るのに対して、推薦枠の場合は1日で受験が終わります。

自衛隊の給与水準

ところで、自衛隊に入隊して働くとどのくらいの給料をもらうことができるのでしょうか？どの候補生あるいは学生になるかによって支給される給与には違いがあります。

ここでは、自衛隊に入隊して初任給としてもらえる金額がどのくらいなのかを個別にご紹介します。

自衛隊幹部候補生

自衛隊幹部候補生の場合には学歴によって違いがあります。

自衛隊帯広地方協力本部｢自衛官のお給料について｣によれば、一般の大学あるいは防衛大学校、防衛医科大学校を卒業した人の場合には月給226,500円です。

大学院を卒業して自衛隊幹部候補生になった場合には247,500円の給与を受け取ることができます。

大卒の平均給与は21万円程度、大学院卒の場合には24万円程度ですから、自衛隊幹部候補生になれば平均給与に比べるとやや高い給与を手に入れることができます。

一般曹候補生・航空学生

一般曹候補生・航空学生の給与水準も学歴による違いがあります(一般的には大卒以上の人は自衛隊幹部候補生を目指す傾向にあります)。

同じく、自衛隊帯広地方協力本部｢自衛官のお給料について｣によれば、一般曹候補生・航空学生の給与水準は高専卒や短大卒の場合には179,200円です。

高卒の人が一般曹候補生になった場合には167,700円になっています。高専卒や短大卒の人の平均的な初任給は18万円程度ですので、ほぼ同等の初任給と言えます。

また、高卒の場合には16～17万円程度が民間企業での初任給の平均的な水準です。つまり、一般曹候補生になればやや高い給与水準で働くことができます。

自衛官候補生

自衛官候補生も学歴による給与の違いはありますが、自衛官候補生を目指す人は高卒の人が多いです。

こちらも自衛隊帯広地方協力本部｢自衛官のお給料について｣によれば、高卒の場合、初任給は142,100円です。3か月の教育訓練を終了して階級が2士になると給料が上がり、179,200円になります。

高卒の初任給の平均が16～17万円ですので、最初の3か月は低めの給料で働くことになります。しかし、3か月を過ぎた時点で給料が上がるため、民間で働くよりも多い収入を得やすい傾向があります。

防衛大学校学生・防衛医科大学校学生

防衛大学校学生・防衛医科大学校学生は給料ではなく、学生手当を受け取ることができます。

自衛隊鳥取地方協力本部｢自衛隊の福利厚生｣によれば、防衛医科大学校の医学医科学生、看護学科学生のどちらも手当の金額は同じで、平成29年の時点では111,300円でした。

候補生とは違って昇給はありませんが、年に2回の賞与は支給されます。

高等工科学校生徒

高等工科学校生徒も防衛大学校学生や防衛医科大学校学生と同様に、学生手当が毎月支給されます。ただし、防衛大学校・防衛医科大学校よりも学生手当の金額は低めです。

上記と同じく、自衛隊鳥取地方協力本部｢自衛隊の福利厚生｣によれば、平成29年における学生手当は101,100円でした。高等工科学校生徒にも昇給はありませんが、賞与の支給対象になっています。

本当に自分に合った仕事に就くには？

自衛隊に入隊するにはさまざまな採用種目から選ぶ必要があり、どれをどのような学歴で選んだかによって給与水準にも違いがあります。初任給で考えると、自衛隊は民間企業の平均と比べてやや高いのはメリットでしょう。

ただ、企業によって初任給に大きな差がありますので、もっと多い給料をもらえる企業に入社できる可能性はあります。

自衛隊の一員として国を守っていきたいという気概がある人は自衛隊が適している可能性が高いですが、稼ぎたい人や自分に合う仕事を探したい人にとっては、自衛隊としての働き方が必ずしもベストとは言い切れません。

本当に自分に合った仕事に就くには、細かい自己分析を行ったうえで、より多くの選択肢から仕事選びを行うことが大切です。

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おわりに、｢仕事探し｣って実は難しくないんです

新たな環境に身を置こうと考えたとき、誰しも必ず｢不安｣と出遭うことになります。
本当に自分のやりたいことができるのか、よくない意味での｢想像とのギャップ｣はないだろうか、自分で務まる業務内容なのだろうか...。

｢仕事探し｣というものがとてつもなく難しいものに思え、孤独を感じている人もいるのではないでしょうか？

でも、｢仕事探し｣って実は難しくないんです！

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